説明しがたい具合の悪さ

具合が悪い。昨日は寝る前に服用する薬を間違えてしまったせいか眠りがハチャメチャで、現実と悪夢を混同し何度も目が覚めた。冷や汗をかいていた。

どうしてそんなトンチンカンな夢を現実だとおもったのか自分でも笑ってしまうのだが、悪夢のひとつは二宮和也というアイドルにめったざしにされるという内容だった。しかも(わたしの悪夢に出てきた)二宮和也はその様子を嬉々としてインスタグラムに投稿するのである。

たぶん寝る前に居間で家族がみていた嵐というアイドルグループの冠番組をちらりと見てしまったからだ。二宮和也という男は、眼鏡をかけたお笑い芸人の男に「(あんたは)ブスだから(ジャニーズには)なれないよ」と言ってくふくふ笑っていた。相変わらずだとわたしはおもった。いや、二宮和也がテレビでほんとうにそんなことを言っていたのかも定かではない。それさえ悪夢の一部だった可能性もある。

ほとんど眠れなかったが、ほとんど寝ていなかったからこそ朝目が冴えていて、会社に行くには行った。

けれどもとにかく眠かった。それに下腹部がうずくように痛かった。何も食べたいとおもうものがなくて惰性で通い慣れたうどん屋に入ったが、三分の一くらい食べたところで限界がきた。店には申し訳なくおもったがいつも通りに代金を払って帰ってきた。

具合が悪い。昨日も具合が悪かったし、一昨日も具合が悪かったような気がするけれど、あまり覚えていないだけで仕事はしているのだから、そんなに具合は悪くないのかもしれない。

こういうことを他人に説明するのはとても難しいとかんじる。

「うつで病院に通っています」といえば多くのひとは思考を停止して、「かわいそうに」という眼差しを向けてくれるのかもしれない。「生まれつき消化器官が弱いがん家系なのです」といえば少し驚きはするけれど、「定期的に通院はしているの?」と同情に満ちた言葉をかけてくれるのかもしれない。

でも、わたしにはそういう説明の仕方はしっくりこないし、そういう反応をされるのも面倒くさい。

わたしはわたしなりに楽しく日々を送っているとおもうときもあるし、「かわいそう」だと勝手に決めつけられるのも釈然としないし、「おまえよりもっと大変なひともいる」と叱られるのも不本意だ(だいたいそういう説教をしてくる輩はわたしよりよっぽど「大変」じゃない)。

なんかもうやんなっちゃったな。と感じてわたしはいつも説明を諦めてしまう。「大丈夫?」と聞かれたら「はい、大丈夫です」と答えてしまう。

全然だいじょうぶじゃない。具合が悪い。でもわたしにはわたしを生かす責任がまだありそうだし、今日は爪をかわいく塗りかえてご機嫌なのだ。ほっといてくれ。